日本の文化を見つめなおす

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深沢 有貴さん
山梨大学教育人間科学部2年
イギリス・2011年2月参加


私は日本の文化や語学、教育に興味を持っていることから、大学では国際文化を専攻、国語科教育、日本語教育についても視野を広げて勉強している。そんな私にとって、日本の伝統文化を英国の地で紹介するというこのインターンの活動や目的は、とても魅力的なものであった。


折紙を教えるのが待ち遠しい

折紙は、たった一枚の正方形の紙から様々な形を生み出す楽しさと幅広さを持った日本固有の伝統芸術のひとつとして知られている。その歴史を遡ると、古代から用途様式を変えながらも広く人々に親しまれていることがわかる。今日では、美術工芸的な一面を持った創作折紙も誕生しており、自由に創作する面白さや脳の活性化、手先の運動などにも用いられている。おそらく大半の日本人が、小学校などの教育機関でも折紙に触れていることであろう。しかし折紙は日本特有の文化であり、当然のことながら遠く離れた英国の小学生は折紙を折った経験がないだろう。そうなると彼らにとって折紙を折るということは本当に新鮮なことであり、きっと興味を持ってもらえる。そう考えると、こちら側としても折紙を教えることがとても待ち遠しかった。
子どもたちに教える折紙の種類は、初級レベルとして犬や猫、ウサギなどの動物、中級レベルとしてひなまつりに因んで、おひなさまやおとのさま、こどもの日に因んだかぶと、そして上級レベルとしてハサミを使用するサクラの花といった具合に、レベル別に事前に用意した。実際に体験した子どもたちは、見本に自分の折紙の形が近づいていくにつれ、とても楽しそうだった。また、ある子どもたちは手先の細やかな作業に慣れていないせいか、難しい難しいと口にしていた。手先を器用に使った日本の伝統文化の美意識を感じられた体験となった。


カルタの紹介

また、日本特有のカードゲームとしてカルタの紹介も行った。カルタは、およそ千年もの歴史を誇る平安貴族の遊びである貝合わせから始まったとされている日本文化である。今回は初の試みとして、最終目標にカルタ大会実施を掲げ、カルタの基盤となる題材探しや読み句づくり、それに基づく象徴となるような絵札づくりなど、一からカルタを制作しようということになった。カルタの種類は二種類、学校内のあらゆるものを題材とする学校カルタと、地域の歴史や人物、建物、自然などを題材とする郷土カルタである。
子どもたちが構想する時間や絵を描く時間がどの程度かかるのか、最初は予想がつかなかったが、思いの外順調に作業は進んでいった。カルタ大会も、初めてのルールで多少戸惑いもあったものの、すべての子どもたちが意欲的に取り組んでくれていたように思う。出来上がったカルタには、子どもたち独特の視点や地域性あふれるものがとても多く、本来の目的である、カルタという遊びに親しみを持ってもらうこと、理解してもらうことは勿論、彼ら自身も身の回りを見つめ直す良い機会になったのではないだろうかと感じた。また、郷土カルタに描かれた場所を歩いて回った際に、観光客などにPRするようなものにも楽しみながら有効活用できるのではないかとも感じた。


書道で「祝」を教えた

書道では、サネットフェアトレード週間をテーマに「祝」という字を教えた。墨汁ではなく固形墨の作り方や独特の匂いは、子どもたちにとって非常に新鮮なものであったのだろうか、とても関心を持ってくれたようだった。また、日本の文字には漢字以外に平仮名、片仮名があるということ、書道用具の使用方法などを披露した。実際に「祝」という漢字を書かせてみると、へんとつくりが縦一列に離されていたり、ところどころの点画を囲いながら書いたりする例が多く見られ、英国人から見た日本語の難しさを感じた。


いろいろな日本文化を紹介

そのほか、日本の伝統衣装である着物や浴衣を着用してくれたインターンシップメートをはじめ、手のかかる布ぞうりづくりや茶道披露、さらには小学校訪問時に全校生徒を前に空手演武を行ってくれたメンバーもいた。それぞれが思い思いの日本文化紹介をする場を与えていただいたこと、それによって自国の文化に興味を持ってもらえたことに、本当に感謝するばかりであると同時に、心からこの企画に参加して良かったと思っている。
日本文化を見つめ直すことができた


また、今回の体験を通して、改めて自国の文化を見つめ直すことができたように思う。異国の地の人々相手にまったく知らない文化を紹介するためには、自分自身が豊富な知識を持っていなければならないが、自分がいかに身近にある伝統文化について表面的な知識しか持っていなかったのか、気付かせてくれた貴重な機会ともなった。そして、彼らの興味関心を持ってくれた表情を見て、国家間の文化理解そのものに対して純粋に楽しいことだなとも感じた。今後、国際社会に生きるうえで、自国の文化に対する愛国心と、他を理解する、あるいは他と協調する態度は極めて重要なことではないだろうか。だからこそ、今回学んだことを無駄にしないよう、ますます教育や国際文化についての勉学に励んでいきたいと思う。