Tea Ceremonyに挑戦

 

創価大学生
イギリス・2011年9月参加


私がこのプログラムに参加しようと思ったきっかけは、「日本語教師体験をしてみたい!」との思いからでした。ほかにもさまざまな日本語教師アシスタントなどのインターンシップはありますが、自身の知識や経験も未熟ななか、本当にこの道に進んでいいのか決意も揺らいでいました。「でも迷うくらいなら実際に体験してみよう!」そう決意したとき、ふと大学でこのプログラムのポスターを目にしました。「日本語に関する知識はまだ浅いけれど、日本文化紹介なら私にできるかもしれない・・」。当時、日本文化紹介というのも将来のひとつの選択肢でもあったので以前から習っている茶道の普及活動もできるのではないかと考えました。事務局長の景谷さんに後日直接お会いし伺ってみると、参加者の自由な発想で取り組んでいっていいよと前向きな言葉を頂き、今回「Tea ceremony」という形で実現することができました。

この企画は3週間滞在する内、2週目と3週目のそれぞれ1時間半ほどの時間で小学校の高学年を対象に開催しました。自身は大学で裏千家茶道サークルの運営に携わっていたので、お茶の先生から夏休み中、何度か練習や打ち合わせの時間をもち、現地でのイメージを膨らませていました。しかし実際にさまざまな日本文化の授業を行う中で言葉の壁にぶつかったり、また子供たちとの接し方に迷うようになってしまいました。そうした馴れない環境の中ではありましたが2週目に入ると少しずつ要領もつかめてきました。

そうして迎えた2週目の金曜日の最後の授業。ついに茶道紹介の時間がやってきました。前日は皆のあたたかいサポートを受け、準備や流れの確認を十分にしたつもりでした。しかしこうして本番を迎えると予想外のハプニング続きで、茶道の奥深い精神性を理解してもらおうと用意した原稿はとても抽象的で分かりづらく、子供たちを飽きさせてしまいました。またお手前中も茶道の手順が分かっているのはほとんど私しかいなかったため、このタイミングで何を持ってきてほしいかなどの行動がちぐはぐになってしまいました。これは私が事前に皆に詳しくシェアする時間を持たなかったことが原因です。自分の想定の甘さや準備不足に後悔してもしきれない気持ちになりました。しかし、こうして等身大の自分を教えてもらったのはひとつの成功への学びであると捉え、最終週(第3週目)の木曜日に向けて動き始めました。

まずは皆から改善点を聞き、自身でそれに対する具体的な方法を考えていきました。まずは子供たちに、より興味をもってもらえるよう紹介原稿を感覚的に分かりやすく書き直しました。また一週目語学学校でお世話になったKevinに英文をチェックしてもらうことで、伝わる英語に推敲してもらったりもしました。また皆のアドバイスでより多くの生徒がお手前を体験できるようにと、1時間半ある授業を2コマに分けローテーションのように流れよく、より効率よくできるよう流れも組み立てしなおしました。これらの対策は皆のアドバイスなしには決して一人で思いつくことはできませんでした。

そうしてむかえた2回目となる最後の「Tea ceremony」。前回は私一人で紹介していましたが、チームメイトの一人が私のお手前中、子供たちが飽きないよう代わりに茶道具の解説をしてくれたり、またその他のプレゼンテーションも皆が心強くさまざまな面でサポートしてくれました。おかげで私がイメージしていたものに大きく近づけることがでました。またうれしくも日本から持ってきた和菓子が大好評で子供たち皆「おいしい!」といって食べてくれました。また心配していた抹茶の味はやはり子供たちにはとても苦くて決して美味しいといえるものではありませんでしたが、何人かは「美味しい!」と目を輝かせて話してくれました。こうした日本のお抹茶や和菓子をなかには家にもって帰り家族に見せたいという子供たちもいて、とても感激したのを覚えています。

このフェアトレード企画である「Japanese Week」は異文化に触れることで子供たちは海を越えた「世界」を知り、またこの「世界の広さ」を知ることができるひとつのきっかけになると信じています。茶道は日本文化の一つですが、たとえ茶道にあまり興味がもてなかったとしても、子供たちが日本に対してもつイメージは以前より、より現実味を増して膨らむと思います。幸いにも一回目のTea ceremonyが地元の新聞に紹介され思いがけず思い出が形になったので、とても嬉しかったです。この記事は私の小さな一歩(原点)を思い出させてくれる私の宝物です。

また日本語教師を目指すうえでこのプログラムを振り返ってみると、対象が小学生ということで日本語紹介より日本文化紹介で妥当であったと思います。日本語を教えるには日本への興味関心をすでに持ち合わせていて、日本語を使って何かがしたいというはっきりとした目標がある場合が多いかと思います。だからこそこの日本文化紹介は簡単そうでいて、どうすれば日本語や日本文化の魅力が伝えられるかという自身の力量が問われるかと思います。

このプログラムの魅力は参加者の創意工夫ができるところなので、挑戦意欲のある人には非常にいいチャンスになるかと思います。もちろんこの道に踏み出そうか私みたいに迷っている人にも、未来につながる貴重な体験ができると信じています。ただ人の成長に関われることに喜びを感じたり、日本文化の魅力に何かしら心惹かれるものがあったり動機は人それぞれでいいと思います。もちろんこの先の未来は必ずしも日本語教師である必要はありません。参加者皆、異文化理解や子供が好きという点で繋がっていました。

子供たちは私たちが想像していたよりずっと素直で純粋で、私たちが折り紙や書道など紹介すると好奇心旺盛の子供たちはもう待ちきれなくて「早く次のステップ教えて!」と催促していました。作品が完成したときのあの満面の笑みは本当に忘れられません。目がビー玉のようにキラキラ輝いていました。このアクションは彼らのたしかな自信につながっていると確信しました。

このプログラムのいいところは普通の留学とちがって実際にイギリスの社会のなかで暮らすことができることです。ホームステイでは「家庭」、授業においては「学校」、また街散策や教会に出向いての建築模型づくりは「地域」とのコミュニケーションであり、どれも社会を構成する大事なコミュニティーであり要素です。つまり異文化理解は子供たちが日本を知るだけではなくて、私たち自身もイギリスという異文化を知り、理解するところから始まるのだと知らされたように感じます。私自身、このインターンへの参加に迷いはありませんでした。進路に迷う4年生だからこそ後悔はひとつも残したくありませんでした。ただ自分が何を喜びに感じ、それがどんな仕事と結びつくのか知りたいから「迷うくらいなら挑戦したい!」との思いで参加させていただきました。今、思い出すとあの日々はもう過去のものになってしまいましたが、今でも私のなかに鮮やかに息づいていて、未来へ私を導くように静かに語りかけてくれます。また近い未来、より成長した姿でイギリスへ飛び立てるよう新たな誓いを胸に今、ここからがんばっていきます。