参加したきっかけは、東日本大震災

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高野 晃肖さん
法政大学人間環境学部3年
イギリス・2012年9月参加


志望動機

まず始めに、私がNPOやボランティアについて関心を持つきっかけとなったのは、東北大震災である。学部有志の“震災について考える”プロジェクトへ参加したら、志高く様々な活動を行う友人がたくさんおり、私には何ができるだろうと考えた。そして、ボランティアの募集を探すためにJANICでNPOについて調べていて、フロムジャパンのサイトにたどり着いた。このプログラムに参加した動機は、日本の素晴らしさをより多くの国の人に知ってもらいたいと思ったためである。震災直後被災地である福島へ赴き地元の方々とお話した際に、『震災前はこの辺りは本当に美しかったのよ』などと涙ながらに語る姿を前にして、それまで考えたこともなかった母国・日本についてあらためて考えるきっかけとなった。参考資料などを読み、地域に密着したとても自由な活動を行っている点にひかれ、参加を決めた。イギリスという国に憧れていたことも応募した動機の一つである。


主な活動

私たちの活動は、イギリスの小学校(Salmestone Primary School,Bromstone Primary School)へ通い、日本文化を伝えることである。皆教えることは初めての経験であり、それを英語で行うため、3度の事前学習を行った。私たちインターン参加者はラムスゲートという町に各々でホームステイし、月曜日から金曜日まではバスで小学校へと通った。授業の内容は書道、折り紙、ローカルかるたづくり、紙芝居である。またプログラムの終盤では教室ではなく体育館でかるた大会とティーセレモニーを行った。


実習を通じて感じたこと、自らの課題として見出したこと

私はこのインターンを通して、コミュニケーションの難しさを知り、また、どうしたら意思疎通を図ることができるのかを学んだ。授業を始めて感じたのは、コミュニケーションには何よりも自信と伝えたい気持ちが大切なのだということである。生徒だけでなく先生も含め、文化も年代も異なる人々へ“伝える”ということはとても難しいことだった。単語選びからよく使う表現など、慣れるまで担任の先生や語学学校の先生などに何度も相談をした。授業は会話でないため、全員のフィードバックを確認することはできない。伝わっているかどうかの確認ができないため、手探りで授業を行うのはとても不安だった。そのため、生徒たちの様子をよく観察し、毎回の授業後にミーティングを開いて情報を共有していくことで、少しずつ改善していった。はじめは英語力がなく、自信もなかったのでうまく授業を進行することができなかったが、授業の回数をこなし、生活をしていくうちに、英語力がついただけではなくボディーランゲージや表情など工夫をこらし伝えようとする力がついた。“子供に教える”という経験はこれまでなかったためとても難しかったが、子供たちが能動的に動くことが好きなのだと分かってからは子供たちのフィードバックできる機会を増やしたり、体を動かす機会を増やしたりすることで参加型の楽しい授業を提案していった。少し工夫することで、聞き手の表情や反応が大きく変わり、生徒たちの楽しんでいる様子が伝わってきて大きなやりがいとなった。そして、慣れてくると、どうしたら日本文化の細かなニュアンスを伝えることができるのか、ということが私たちにとっての課題となった。私たちにとっては当たり前のことが、説明しないと伝わらないためである。私たちは何気なくしてしまう行為やしぐさには意外と盲点が多く、発見の連続だった。より細かく伝えるために、例えば書道を紹介するときには精神統一についての説明を加えたり、深呼吸を教えたりした。また、墨のにおいをかがせたり、半紙の紙質を確かめさせたりと五感に訴えることでより細かな部分まで楽しみながら伝えるように工夫をした。

また、授業はインターンシップ生にほぼ全面的に任されていた。企画から進行まで、担任の先生は助けてはくれるが、何も指示することはない。責任を任されていることに初めのうちはとても緊張していた。内容は前回のインターンのフォーマットに倣うこともできたのだが、授業を進めるうちに“新しく作り出すこと”が楽しくなり、いろいろな企画を提案した。事前に担任の先生と打ち合わせをして、よりよい授業づくりを目指した。初対面のインターン生9人が3つのグループに分かれて授業を行っていたため、はじめはグループ内でのミーティングが日課だったのだが、だんだんとグループを超えて交流するようになった。プログラム終盤のティーセレモニーやかるた大会では教室ではなく体育館を借りて全グループ合同、3クラス合同で大々的な授業を行った。苦労したこともあるが、だんだんと団結力が生まれていく過程はとても楽しく、授業の後はいつも反省と達成感でいっぱいだった。参加者には着付けが上手な者や、書道指導の資格を持つ者など各々で各自の得意な分野があったので、授業はどんどん充実していった。スケジュールが詰まっていて準備する時間が短い時などは限られた時間でいかに臨機応変に対応し成功させるか、皆でアイデアを出し合い、役割を分担した。授業が終わった後は達成感でいっぱいだった。とてもいい経験になったと感じている。


将来にむけて

将来については依然として漠然としているが、現地で多くの違った価値観をもった人々とコミュニケーションをとったことにより、少しだけ世界が広がった。私たちの滞在したラムスゲートという町は田舎の港町で、古き良きコミュニティが今も生きる街だった。すれ違えば挨拶をしてくれ、町の住人は町にいる人々へ優しかった。とても温かい雰囲気のある町だったのだ。アジア人が大勢で話をしている光景は珍しいらしく、地元の人々とたくさん話をした。つたない英語力でも、繰り返し、粘り強く、話をしてくれ、聞いてくれた。日本からきたのだというと皆、地震について心配してくれた。初老の男性が「以前日本に行って原爆ドームを見たときには涙が出たよ」と話してくれたときには胸が熱くなった。いろいろな国のいろいろな年齢の人話をしたが、文化や考え方の違いに大きな刺激を受けた。NPOの代表の方の紹介で知り合ったワーキングホリデーでラムズゲートに滞在する日本人の女性や、語学留学に来てこの町の男性と結婚した女性の二方と話したことは私の中の人生観を変える大きなきっかけとなった。お二方とも一度大学を出て就職してから「英語を勉強したい」と思い立ちラムズゲートに来ていたのだった。行動力があれば、可能性はいくらでも広がるのだと学んだ。少し楽な気持ちになった。大学卒業→就職→結婚?というありきたりな道しか自分の中に浮かばなかったが、もっと夢を持ち、自分のやりたいことをしたいと思った。普通の語学留学を考えたこともあったが、英語を勉強したい、しかし何故、というジレンマが自分の中にあり踏み出せずにいた。ただ漠然とした気持ちでは長期の海外生活の中でくじけてしまうと思った。インターン中は、どうしたら伝わるか、楽しんでもらえるかを夢中で考えているうちに自然と会話をする力がついていた。英語を勉強するには文法ももちろん大切だが、何か目的があると上達が早いのだということに気づいたのは大きな発見である。ただの海外旅行ではできない経験をたくさんすることができるので、もし後輩に興味がある者がいたらぜひ紹介したいと思っている。



フロムジャパン事務局コメント

高野さんは卒業後、イギリスの服飾を輸入販売を手がける会社に就職されたそうです。その企業は東日本大震災後を始め社会貢献活動に熱心だそうで、就職面接の際には、英国でのインターン活動が話題となったそうです。