日本文化への愛着や異文化コミュニケーションの難しさを確認

高野 佑里さん
宇都宮大学国際学部3年
イギリス・2012年9月参加


私は初めての海外旅行者ということで英国インターンに参加した。出掛けるまでの様々な手続きや、その他の色々な準備など初めてのことばかりで戸惑うことも多く、非常に大変な思いもした。、、、、、しかし日本に帰ってきて思うことは、やはり行ってよかったということである。

イギリスでの滞在先はマーゲートという港町で、非常に環境がよかった。そこで一週間の語学研修を受けた後本格的に日本文化、日本語を紹介した。最初の小学校では、正直なところ日本での準備不足とチーム内でのコミュニケーション不足により、自分たちが今何をしなければならなくて何をするのがベストなのかという判断が付かず先生に頼り切りになってしまったという面もあり、自分の語学力不足を痛感した。子供たちがワークシートをしている時に、どうやったらいいのかと尋ねられたが何を言われているのか全く分からなかったため応えてあげることができず失望させてしまった。日本語は私自身も解らない部分があるように、難しい言語であるのにそれをさらに英語で説明するということは非常に難しいことであった。どうやって教えるのが一番ベストで、どういう反応がベストなのか、を考えていたが結局マニュアルもない人と人との関係であるため、答えは出なかった。
しかし、その現状を変えたのは昼間の小学校訪問ではなく、夜のバー通いであった。私は夜は語学学校付属のバーに通い、マーゲートの地元の人々と会い、親睦を深めた。それが幸いしてか、ある程度の日常会話と現地の人々との会話がある程度できるようになった。しかし、一番上達したのはヒアリングの能力である。やはり毎日英語を聴いていると、耳が慣れていき何度も聞く単語などは覚えてくる。そうすると、英語に対して少しだけ自信が付き話すことが怖いという気持ちが少しずつ薄れてくる。そのためホストファミリーやハウスシェアをしていた友人(イタリア人)とコミュニケーションが多く取れるようになってきた。この話題は語彙力がなくてすることができないといったことがなくなってゆき、どんな話題をふられても振っても会話のキャッチボールができるようになったし、現地の友人に「最初の時よりも英語がだいぶ上達している」といわれ非常に嬉しかった思い出がある。イギリスのバーやパブは社交場として昔から発展してきたが、その効果について改めて実感したように思う。ビリヤードや、ダーツなどを一緒にやったり雑談をしながらお酒を飲んだりすることによって自然と打ち解けてゆき、それに見合うような言語力をつけていこうと自分も努力するようになる。そのため、イギリスに行く前よりもイギリスに行ってからの方がたくさん英語の勉強もしたし、辞書も使ったように思う。習うより慣れろということが本当だと気付いたのはこれが初めての経験だった。

インターンシップで3か所の小学校をまわり、折り紙やポスター、書道や紙芝居を紹介したが、その中でも私が一番好きだった活動は書道である。書道はもともと私が習っていたということもあって、書道をする上での心得や姿勢などを知っていたため他の折り紙や紙芝居などよりも少しは役に立てたのではないかと思う。書道を行う上で心配だったのは、子供たちが書道行う時に筆や墨汁などで服を汚してしまうのではないかということであった。実際に、子供たちは上に着る遊び着などを忘れてしまったり持っていなかったりした子もいて、白いブラウスを黒く汚してしまった子もいた。そんな時、私は非常に焦ったのだが逆に子供たちの方は「お母さんに怒られる」などと気にしたりする子はおらず、「ハロウィンの時に使える」とプラスの方向に考えていたということは非常に驚きだった。日本人の家庭であれば、そういうことをすると非常に悪いことをした、お母さんに怒られたらどうしよう、などと考えるものであるがイギリスの子供たちはそう考えないということが新鮮な発見であった。イギリスの学校教育では時間にシビアではなく、のびのびとした学習環境が整っているということが解り、日本でもこうしたらいいのにと考えたが日本人の何事もしっかりしたい、という社会風潮や教育環境ではなかなか実現することは難しいと思う。

そして、書道を教えていく手順として、私は最初に自己紹介をするのだが、子供たちに日本の文化で少しでも知っていることがあるということを教える為に、絵を前のホワイトボードに描いていき、解った時点で手を挙げてもらうという形式をとってピカチュウとハローキティーを描いてブレイクタイムのようなものを取った。そうすると、順番に描いていくときに子供たちも何のキャラクターだろう、と考えて知っていたときに答えることができるという喜びもあり、なかなか楽しんでもらえた。そして「彼らは日本に住んでいる」などと付け加えると日本に対しての興味もそそれたのではないかと思う。その後、書道についての説明やひらがな、カタカナ、漢字の説明をしたのだが漢字の種類などの多さについては、アルファベットに比べて文字数がケタ違いに多いので子供たちも純粋に驚いていた。それを通して自分も日本語についての知識を改めて確認したようにも思う。日本の中に居ると、「日本語」の新たな発見はほとんど失われてしまい、日本語を勉強している身ですら改めて日本文化についての新たな側面に触れることはなくなってしまう。このようなことは他人に教える立場になって初めて解るのではないかと思う。自分の文化と他の文化を比較するということによって生まれる純粋な興味は勉強をするという上で非常に重要なポイントになるのではないかと思う。実際に書道を行う前に私たちは一度デモをして、先生に書いてもらうという順番で行った。デモ時には筆に少し墨汁を染み込ませておいて、硯に水を入れ、水だということを指をつけて確認してから少し刷る。それからあらかじめ墨汁に浸しておいた筆を硯に入れると色が濃くなり、半紙に書いた時に濃い黒になる。それを見せたところ、子供たちは「マジックスティック」と非常にうけがよかった。匂いを嗅がせることにより五感に訴えるなど、色々なことを試し、どれが一番子供たちの反応が良かったか、などを他のメンバーと話し合い、情報交換してさらに授業構想を練り、最終的には自分たちで一番やりやすい、子供たちにも楽しんでもらえるという形が出来上がったと思う。様々な工夫をしていく過程で、対立もあったりしたが、書道が一番自分的には楽しかったように思う。

今回結局最終的には体調を崩してしまったり、食べ物や水道のトラブルがあったりと様々なアクシデントや困ったことなどがあったが結果的にはとてもいい体験となった。イギリスに行くということを非常に恐れていて、「やはり申し込まなければよかった」と何度も行くまでは思っていたが、行ってみたらそこまでコミュニケーションを取ることに苦労もせず、むしろコミュニケーションに失敗して仲互いするなどという苦労があるのは同じ言語の日本人とのことであった。このことから、同じ文化圏の人との対立は起きやすいが、多文化圏の人との対立は多文化圏の言語を使い慣れていない人は特に起こりにくいのではないかと考える。そのため、私たち日本人はコミュニケーションをするということを怠ってしまうと日本人同士でのいさかいや対立が生まれてしまうため、今度インターンシップに行く時にはきちんと同じグループ内でコミュニケーションを欠かさないようにし、分担もきちんと行い、事前準備も怠らないようにしたい。今回の様々な反省や「ああしておけばよかった」ということを踏まえ、次回それを克服して活かせるようにしていきたいと思う。外国に行くことで日本文化への愛着や異文化コミュニケーションの難しさや語学力の必要性などを確認できたという意味でも、今回のインターンシップは非常に有意義な旅であったように思う。