国際協力+日本への貢献

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吉田祐子さん
横浜国立大学人間科学部1年
イギリス・2011年9月参加


なぜ私がこのインターンに参加したのか。その理由は、国際協力をしたいという従来の思いと、最近芽生えてきた日本に貢献したいという思いにピッタリ合うと思ったからである。それにあいまって、私の書道経験を何かに生かしたい、という思いも参加を決意するきっかけになった。

まずグループの中で私がリーダーを担当した、書道を教える活動について振り返ってみようと思う。書道を教える際には、様々な点で悩まなければならなかった。まずイギリスの子供たちは筆で文字を書くということ自体初めてだと思ったし、もちろん日本語や漢字についての知識はほとんどないだろうと思ったからだ。そして一番悩んだのは、書道をする上で一番大切な「心を落ち着ける」という精神をどのように教えるかということである。もちろん漢字を教え、筆で文字が書ければそれでいいかもしれない。しかし私としては、日本文化を教えに来ている以上、その精神まで伝えたいと考えたからである。

まず準備段階では、子供たちの練習用の新聞紙やワークシート、班ごとに配れるよう実際に筆で書いた見本を用意したりした。ワークシートも単に文字が書いてあるだけでは書き順が分からないと思ったので、一画ずつ書くなどの工夫をした。これは、子供たちが順序を守って書くために効果的であったように思う。さらに、清書用の半紙には中心や名前の書く場所が分かるよう、あらかじめ折り目をつけておいた。しかしこの点に関しては、折り目の意味の説明が不十分であったため、文字が崩れてしまう場合があったため、改善余地があると思う。

様々な準備の末、授業が始まった。初めは日本の文字についての説明である。ローマ字・ひらがな・カタカナ・漢字の4種類の文字を教えたときの反応はすごく大きかった。それぞれ学ばなければならない文字数の多さにも驚いていたようである。日本で使われている漢字を“Chinese character”と教えるのには少し不安があったが、中国が由来であるという話をすると、理解してくれたのでよかった。その後は書道で扱う文字「祝」の書き順の練習を兼ねて「空書き」を行った。日本ではよく見られる光景だが、イギリスではやはり珍しいらしく、子供たちも楽しそうに取り組んでいた。この空書きによって書き順を覚えることができるだけでなく、体全体を使って書くことで飽きることなく書道に取り組めたのではないかと思う。

次に「祝」のワークシートに取り組んだ。筆のような文体で書いていたため、何も言わないと文字の枠をなぞってしまう子もいて、幼いころからの書道の経験がないと、子供たちはこんな風に理解するのだな、と感じた。

そして自分名前をカタカナで書く、という練習を行った。とにかくこの活動は全体を通してとても人気のある活動だった。気をつけなければならないのが、「ピーター」などのばす音がある子の名前である。横書きと縦書きで向きが違うため、注意して書かねばならなかった。しかし子供たちはいったん教えられるとすぐにきれいな字を書き、ワークシート以外にも様々なところに自分の名前を漢字で書いていた。中には「お母さんの名前を日本語で書いてほしい」という子もいて、日本語に対する興味の高さに驚いた。

次に前に子供たちを集め、デモンストレーションを行った。墨を作るところから見せ、墨のにおいを嗅がせたり実際に子供たちに作ってもらったりした。この時、書道をするときは深呼吸をして心を落ち着けるんだよ、という話をすると、実際に深呼吸をする子もいた上に教室中が静まりかえり、本当に書道をするような雰囲気に持っていけたのがすごくよかったと思う。その中で、子供たちはどの過程でも真剣に話を聞いたり参加してくれたりしていた。実際に筆で書くところは、まず私が書いて見せたあと、担任の先生に書いてもらった。こうすることで、子供たちもさらに興味を持って書道を見てくれていたようだった。また、手本を見せた時には書き終わった後には歓声が起き、やはり子供たちにとってすごく珍しいことなのだろうな、と思った。

そして子供たちの練習に入った。墨の付け具合を説明するのが少し難しかったが、一人に1本ずつ筆を用意して下さったので、たくさん練習ができとてもよかったと思う。最後に半紙に清書をした。一人一枚の清書であったが何度も練習できたこともあり、大半の子が上手に書けていたと思う。そして何より、子供たちが楽しそうに書道に取り組んでくれたことが一番嬉しかった。

この他にも、折り紙やカブトづくり、紙芝居など様々な活動を行った。それぞれに違った良さがあり、違った学びがあり、すごく楽しく教えることができたと思う。

次に、授業をしていく中で感じた日本とイギリスの違いについて述べてみようと思う。最初に感じたのは、イギリスの子供たちはすごく目がキラキラしていて、自分の意見をしっかりもち、自分に自信を持っているということである。これは一概には言えないことだと思うが、とにかく子供たちが純粋だったのである。また、どのクラスも班ごとに机がつけてあって、そのグループごとに活動することが多いようだった。こうすることで、各個人の意見を他人に伝える機会は増えるのではないかと感じた。授業のコマ数も日本とは全く異なり、前半2コマ、後半2コマのように1コマの時間がたっぷり取ってある形式である。午後は休憩なしの学校もあり、全体的にゆるやかな印象を受けた。と、ここまではすごく良い印象を述べてきた、逆に日本にあってイギリスにないものもあった。それは当番制である。給食にしろ掃除にしろ、すべて大人たちで行っていた。この点は、私は日本の制度を支持する。なぜなら、当番制からは、自分たちのことは自分たちでするという基本的な姿勢を学ぶことができると思うからである。

また、授業以外でも違いを感じるところは多々あった。例えば、休日の街中。日本ではたくさんの客を呼び寄せるチャンスであるため、夜遅くまで営業しているところが多い。だがイギリスでは、ほとんどの店が夕方5時に閉まるだけでなく、最初から休業している店も少なくなかった。さらに電車は止まってしまうこともあるのだ。日本ではありえないことである。これは私たちの滞在していたラムスゲートだけでなく、町巡りをしているときにも感じたことであるが、全体として日本よりもゆったりとした時間が流れていた。日本は確かに便利である。多くの店が土日もフル回転で、過ごしやすい。それに比べると確かにイギリスは不便な部分もあるかもしれない。しかしどっちが幸せなのだろう。このように考えてしまうこともあった。

最後に、このコミュニティーインターンの総括をしていきたいと思う。今回このプログラムに参加して、私は様々な国の人々に出会い、様々な景色を見、様々な体験をすることができた。日本人インターンの人たちと夜も集まりながら必死で授業を組み立てたこと。子供たちと一緒にカルタゲームをしたこと。子供たちからお手紙をもらったこと。町歩きでものすごい僻地を歩き、白い崖に辿り着いたこと。町で出会った現地の人々との会話。語学学校の友達とたくさん話したこと。ここには書ききれないが、全てが思い出である。一番感じたことは、もっと英語を勉強したい、ということである。英語がもっと流暢に話せたら…と思うことが何度となくあった。今は英語を話せるのは当たり前、という時代であるが、やはり英語を話せるだけで世界は何倍にも広がるのではないかと感じた。また、今回の経験は日本の文化について、そして日本について考える良いきっかけにもなった。外国の人たちは政治などについてもすごく熱心で、日本の政治について聞かれて戸惑ってしまうこともあったのである。とにかく全てにおいて、このままではいけないと感じた。この経験を無駄にしないよう、これからも色んなことに挑戦し、悔いのない大学生活を送っていきたい。最後になったが、このプログラムのために全力で準備、運営にあたって下さった景谷さんをはじめフロムジャパンのスタッフの方々、そして私を支えてくれた日本人インターンの方々に、感謝の意を申し上げたい。