教師を目指す自分にとっての3週間

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赤松純平さん
兵庫教育大学学校教育学部2年
イギリス・2012年2月参加


自分は大学で教師を目指し勉強しているので、このプログラムでは教育者の視点を持ちながらいろいろな活動に取り組もうと思っていました。3週間に及ぶ滞在で、やはり最も心に残っているのは、現地の小学校で授業をしたことです。海外の教育事情について直に学ぶことができる貴重な機会であるとともに、自分にとって何もかもが新鮮で、その全てが僕の財産となりました。

小学校での授業は文化紹介と言っても、ポップカルチャーではなく伝統的な文化であったので、子ども達が興味をもってくれるのかという不安も最初はありました。しかし、どの授業でも子ども達はとても楽しそうに、進んで授業参加をしてくれました。体験型の内容、授業構成であったことがよかったのかなと思います。自分達の班は折り紙、書道、折り紙ポスター、カルタゲーム、地域カルタづくり、そしてカルタ大会の授業を行いました。自分にとって折り紙とカルタ大会の授業はとても思い出深いものとなっているのでここで紹介したいと思います。

全体を通してやはり子ども達が一番盛り上がったのはカルタ大会ですが、ここで折り紙の授業を紹介したいのは、全員が楽しめる授業であったからです。カルタはゲーム性が子ども達に人気だったものの、カードを取るのが苦手だった子どもの中には少しさびしそうにしている子もいました。その点、折り紙は全員が紙から何かをつくるという経験をすることができ、作品を完成させる喜びを共有し合うことができました。イギリスにもpaper foldingという名で折り紙自体はあるものの、あまり知名度や人気はないようでしたが、インターンが目の前で折り紙を折ってあげると、たった一枚の紙から様々なものができていくという様子がまるで魔法を使っているかのように感じるらしく、キラキラと目を輝かしてその様子を見ていました。

折り紙の授業ではまず普通のサイズでかぶとをつくり、その後新聞紙で大きなカブトをつくってそれをかぶり集合写真を撮りました。そのクラスでは翌日に書道の授業があったのですが、書道の授業中、かぶとをかぶっている子が何人もいました。とても気に入っていることが伝わってきて嬉しく思いました。また、適当な紙で何度もカブトを折ってみたり、とても小さな紙でかぶとをつくったり、他の折り紙を聞いてきたりと、授業時間だけでなく、授業後も折り紙に興味を持って楽しんでくれていた子が何人もいたのでよかったです。彼らがこの先折り紙をどんどん広めていってくれれば、この活動が一過性のものとならず、自分達の活動が何かを残したと言えるのではないかと思い、期待しています。

折り紙は折り紙の授業以外の場面でも何度も折りました。他の授業にもどんどん取り入れ、学年や授業内容、時間配分に応じて様々なものをつくりました。また、学校外でも、フェアトレードのイベントや現地で仲良くなった人達とも一緒に折ったりしました。かぶとや折り鶴をはじめ、風船に手裏剣、角香箱や景品のメダル、そしてユリの花などもつくりましたが、相手に合わせ難しさを変えられる上、一度覚えれば自分でつくる楽しみを味わえる、紙さえあれば簡単にできるということで、外国人と文化交流をする上でとても有意義な題材であるということを実感することができました。また、伝えたい内容をジェスチャーで相手に大まかに理解させることができるので、英語に自信がなくても扱いやすい内容だと思いました。

3週間の滞在で様々な場面で生かせた折り紙は総合的に見てとても思い出深いものですが、一方でカルタ大会は対照的に一瞬の大きな盛り上がりが心に残っています。

カルタ大会は現地で訪れた2校ともで行いましたが、自分自身は2校目の小学校でのものがとても印象深いです。この学校はとても厳しい雰囲気の学校で、給食の時間にうるさかった子がホールから追い出されたりすることもありました。1校目が比較的ゆるやかな雰囲気の学校であったので、その雰囲気の違いで窮屈さを感じることもありました。子ども達も少しおとなしい子が多く、1校目が積極性のある子達ばかりだったこともあり、戸惑いを感じているインターンも多かったです。

自分はカルタ大会当日は表彰の担当でしたが、とにかくその表彰を盛り上げたいという気持ちがありました。それは、その日が自分達が小学校を訪れる最後の日だったので、最後に思い出をつくってほしいから、そして表彰を受ける人やクラスに対し、全員が祝福する雰囲気をつくりたかったからという理由からです。それに何より、みんなが楽しんだカルタの後の表彰が盛り上がらなくては物足りないという考えがあったからです。

カルタ大会では1つのクラスがつくったカードを学年で使用しましたが、カードをつくったクラスが圧勝するという結果になりました。表彰は、子どものつくったカードに対する個人表彰とカルタ大会の結果に対するクラス表彰があったので、表彰の集中するクラス以外のクラスの子ども達が退屈する可能性がありました。そのため、表彰を盛り上げて、負けたクラスの子ども達も楽しみながら参加できる雰囲気をつくろうとより強く思いました。

表彰に移る際、先生方が子ども達を整列して座らせ、「堅い」雰囲気で表彰が始めようとしたので、僕はその雰囲気を壊すために舞台上でギャグやパフォーマンスをして笑いを誘い、くだけた空気の中で表彰を始めました。表彰でも緩急や抑揚をつけたり、大きなジェスチャーをしたり、ギャグをはさんだりして盛り上げ、終始笑いや歓声の中で進行を行うことができました。みんなが楽しそうな表情をしていたのがとても嬉しかったです。大いに盛り上がって表彰を終えたので、そのまま元々担当ではなかったカルタ大会の締めのあいさつも任されました。急遽だったのでうまく伝えられたかはわからないですが、自分の言葉で子ども達に感謝を伝えられたこと、自分のパフォーマンスを周りのインターンからも認められたことがとても嬉しかったです。そして最後に全員で写真を撮ったのですが、子ども達が自分の周りに集まってきたり、近くにいた女の子が自分のことをとてもおもしろかったと言っていたりしたので、頑張ってよかったなと思いました。この学校では1校目に比べ教師や規律の厳しさから少し堅苦しさを覚える場面もありましたが、子ども達の心からの笑顔を引き出すことができ、とても満足しています。

小学校への訪問・滞在では日本との教育の違い等をはじめ、非常に多くのことを学びました。その中でも特に、コミュニケーション―バーバル(言語的)コミュニケーションとノンバーバル(非言語的)コミュニケーション―と教育の普遍性について学ぶことが大きかったです。自分自身のことで言えば、自分が大学で学んでいる小学校の教員になるための知識や技能、授業構成の考え方などをイギリスの小学校でも生かすことができ、自身の学びが将来に有意な形でつながることの確信を得ることができました。また、言葉の壁を越えて子ども達と仲良くなることができたので、教師になった時の自分の引き出しを増やすことができたと思います。

この3週間では、前述の事柄に加えて多くの人、もの、自然との出会いから自分の世界を広げ、自己を向上させることができました。また、言語に関しては自分の技量を理解するとともに今後の課題、学習方法についてのヒントを得ることができました。今後はこの経験を生かすとともに、今回出会うことができた大切な仲間達とのつながりを継続し、刺激を与え合いながら自己を向上させていきたいです。また、国際関係の活動を積極的に行い、自分の経験を周りに還元できるような活動もどんどん行っていきたいと思っています。そして将来は、このインターンに参加して学んだことを生かし、素敵な人間を育てられるような教師になりたいと思います。