日本文化カルタ作りに挑戦して 

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鈴木大智さん
東北大学教育学部2年
イギリス・2012年2月参加


学部の掲示板に貼ってあったチラシを偶然見かけたことから始まった。もし、あのとき休講の掲示を他の人に見に行ってもらっていたら私はイギリスには行っていなかっただろう。図らずも、希有な体験を春休みにできそうだなと思った。

あのときの期待どおり、このプログラムはとても有意義なものだった。活動した内容が多岐にわたったため、私は日本文化カルタに関して書くこととする。

日本文化カルタは今回が初めてであった。フロムジャパンに限らず、なんと外国で日本文化のカルタを作ること自体が世界初であったようだ。したがってマニュアルはあり、地域カルタづくりの前例はあるものの、日本文化カルタづくりの前例はない。日本にいる間に班員でテーマ、大まかなやり方は共通認識として持っていたが、この授業を成功させるのは困難に思っていた。カルタを作ることだけなら簡単だが、日本文化となると子どもたちが知っていることはほとんどないのではないかということがまず挙げられた。しかし、カルタのテーマとして日本文化を紹介するのであれば、それは異文化交流というには時間が足りなすぎる。飛行機の中ではそう考えていた。

しかしそういった不安は、語学学校の教師ケビンによって半分は吹き飛んだ。ケビンは僕の故郷と同じ岩手県に10年も住んでいた日本マニアだった。彼が我々の日本文化紹介文(英文)を添削し、彼なりの日本文化への見解を入れ、さらに子どもに分かりやすい内容にしてくれたのだ。ケビンには東西文化の根本的な違い、日本文化へのコメントなど非常に楽しませていただいた。彼は初めて見たタイプの外国人教師であり良き日本の理解者であり、彼から学んだものは大きかった。

ケビンの添削が授業を進めるうえでの重要な材料となり、あとは手法を我々で考えなければならなかった。クラスは30名であるが、多様な日本文化のテーマが出ることを見越して40以上のテーマと紹介の英文を用意した。しかし、そんなに多くのテーマを紹介する時間はないし、子どもにとっては飽きてしまいかねない。そこで、我々は日本文化を代表するものとして、できるだけ子どもに分かりやすい、または学校に関係しているものに絞った。また、紹介時間の約30分間を飽きさせないようにこまめに質問、映像、そして実演を入れることにした。実演するものは分かりやすく、印象の強いもので、空手の型やコマ回し、福笑いなどにした。大体のタイムテーブルは班員で共有したが、質問への反応や机の移動などは計算が難しいため、柔軟に対応できるようにと確認し、本番の授業を迎えた。

当日の子どもたちの反応は素晴らしかった。最初に実物のかるたで遊んでみたこともあり、我々の予想以上にカルタづくりに対して意欲を持ってから日本文化紹介に聞き入ることができていたように思う。我々の文化紹介の進行も滞りなくいき、子どもたちの興味を引きつけることができた。途中クラス担当の先生が何度も代わったり、子どもたちの書いた字が読めなかったりなど我々にはどうしようもないトラブルがいくつかあったが、2日間の授業を通して、読み句作成、絵札作成、写真撮影などほとんど滞りなく進めることができた。最後には子どもたち一人一人が各自の読み句、絵札について発表をし、我々日本人への質問タイムを設け、クラス全員で写真を撮影し、非常に気持ち良く終わることができた。

子どもたちは翌日隣のクラスと合同でカルタ大会を行った。ゲームはもちろん大盛況だったが、自分の作ったカードを見つけると喜んでいる子ども、これはどういったものなのか聞いてくる子どもなどゲーム以外でもカルタに対する反応は良く、このときカルタが日本について学ぶ良い機会になっているなと感じた。

カルタ作りの活動を振り返って、良かったと思うことと、改善してほしい点を述べる。まず良かった点として、カルタはクラス全員の作品を会わせて1つの作品として楽しめるということだ。私は個人作品は何度も作った思い出があるが、このようなクラスで何かを合わせて作る経験と言うのは覚えていない。しかもカルタのように反復して遊べるようなものならなおさらだ。また、カルタの読み句作成を通して、子どもの発想が我々と全く違う着眼点でできていたことを発見した。大人には大して重要でない内容も、子どもはこの内容がいいと言っていた。もし我々が読み句を作れば、全てそのテーマの解説のような、wikipediaカルタになっていたかもしれない。しかし、子どもの作った読み札はそれぞれ個性的でカラフルな内容になっていた。

次に改善点として、各カルタに与えられる賞で、絵札の上手さが重視され、読み札が考慮されていなかったように思えることだ。子どもが選ぶ賞なので絵に傾倒してしまうのも分かるが、詩のような読み句を作ってくれた子もたくさんいたので、そこは次回のインターンには説明を詳しくしていただきたい。また、我々が日本文化カルタの授業をする目的を考えた時に、日本文化を紹介したい意識が強く、時間が許すのであれば、ぜひ文化紹介の際に実演を多く取り入れ、子どもの体験等も入れるべきだ。そうすれば、これは非常に高度な異文化交流の授業になり得ると感じた。

このプログラムに参加したことで得られた経験は相当たくさんある。月並みだが、英語力が足りず苦労したこと、日本ほど几帳面でない文化に困惑したことなどである。また、今回文化を紹介する身で派遣されたわけだが、日本について無知であると自覚した。これからは英語、海外の文化だけでなく日本のこともしっかりと学んでいきたい。