フェアトレード・・・、聞いたことあるような、ないような…

1208shoko

青井翔子さん
高知県立大学文化学部2年
イギリス・2013年8月参加


私は、大学2回生になって大学にも慣れてきて、何か物足りなく、「何かに挑戦して成長したい、周りにすごいと言われるような経験をしたい」と考えていました。今年の夏休みは就職活動の準備として企業へインターンシップに行こうと考え、大学の掲示板を見ているときに、このインターンの貼り紙を見ました。「イギリス」「日本文化」「教育」と、私の関心のあるキーワードばかりで、「海外にインターンシップなんてかっこいい。これに参加しよう」と思い、そんな単純な動機からこのコミュニティインターンに参加しました。

このインターンは、欧米市民団体の招待を受け、日本各地から集まった大学生が協力し、イギリス南東部のサネットという地域の小学校で日本の文化を紹介し、まちづくりを応援する活動です。地域の一員として活動しながら、現地の社会や文化・外国語を実践的に学ぶ、「地域貢献型」海外インターンシップです。

私は文化学部でもあるし、イギリスの小学生たちに、カルタや折紙、習字といった日本文化を教えることをとても楽しみにしていきました。もちろん、とても楽しく活動できたし、素敵な思い出がたくさんできたのは確かです。しかし、私がこのインターンで一番印象に残っているものは、“フェアトレード”についてです。

私はフェアトレードについて全くの無知でありました。「フェアトレード・・・、聞いたことあるようなないような…。」と、そんな程度でした。それゆえ、「フェアトレードタウンであるサネットという町で活動をする」と言われてもあまりぴんとこなかったというのが正直な印象です。インターンの参加者の中に、フェアトレードについて大変関心を持っている人がいて、フェアトレードとはどのようなものか教えてくれ、除々に理解していき、興味を持つようになりました。そしてそのときに偶然、町のスーパーで買って食べていたチョコレートがフェアトレード商品であったときの感動を覚えています。そのスーパーはフェアトレード商品を多く取り扱っている店で、私はそこで無意識に、可愛いパッケージのチョコレートを買っていました。こんなに身近にフェアトレード商品があるとは思いもしませんでしたし、同時に、こうして身近に感じられることがフェアトレードの推進として、大切なことなのだと思いました。

インターンのプログラムで、滞在しているラムズゲートやブロードステアーズの町を散策しました。そのときに、フェアトレード商品を扱っているという店を見て周り、また立ち寄って、「どんな商品がおいてあるのか」と尋ねる活動もしました。その活動の中で面白いと感じたのは、美容院に行ったときのことです。私は初め、美容院のフェアトレード商品といえば、シャンプーやワックスなどに使われていると思い込んでいました。ところが、商品として扱っているものは、来客に出すコーヒーや菓子だと聞き、とても驚きました。そんなところで関わっているのかと面白く感じました。このように少しではありますが、フェアトレード商品との関わりを持つ店が多くある町であることがわかりました。

私はこのように、フェアトレードの発祥の地であるイギリスで、“フェアトレード”について初めて学び、触れ、多くのことを感じました。最初は、発展途上国の自立のため、私たち先進国の者がフェアトレード商品を買い、慈善活動として貢献していくものだと解釈していました。しかしそれは全く違い、フェアトレードとは、両者が公正の立場で、両者ともプラスになるものです。フェアトレード商品は生産者や労働者に見合ったお金と取り引きするため、他の商品よりも少し値段は高いですが、その分、商品にこだわっており質が良いです。私たちはその質のいいものを選んで買い、利益や満足を得ます。それは何も慈善活動ではありません。どの商品を選ぶかは私たち消費者の自由であり、「発展途上国のためにみんなでフェアトレード商品を買いましょう」と強制するものではありません。フェアトレードタウンであるサネットと言っても、私みたいにフェアトレードについて知らない人もいました。しかし、売ることを目的にフェアトレード商品を推しているのではなく、より多くの人にフェアトレードについて知ってもらい、身近に感じてもらおうとしている意欲が、教会、店などを通し、町全体から感じられました。つまり、重要なのは、多くの人に買うことを推進することではなく、多くの人に“フェアトレード”というものを知ってもらうことだと学びました。

私が始めに興味を持って参加したことと、実際に帰ってきて感じていることは違いますが、“フェアトレード”という思いがけないものに出会い、興味を持ち、どんどんその魅力に引き込まれました。以前から、先進国と発展途上国との経済格差については気になっていました。同じ地球に存在しているのに、なぜ裕福/貧困などの差がつくのだろうかと考え、その差を縮めていくにはどうしたらいいかわからないままでした。募金活動など私たちのような裕福な国の者が貧困な国の人々に支援することが近道なのだろうかとも考えていましたが、そんな支援をしていても私たちの力で発展途上国を先進国にすることは不可能です。しかし、フェアトレードは、現地の生産者や労働者の権利や知識、技術の向上による自立を目指しています。そして、よりよい取引状況を提供し彼らの権利を強化することで、持続可能な経済社会発展が実現できるように貢献することができるのです。これこそ、先進国と発展途上国の経済格差を解決する遠いようで近い策だと思いました。発祥地であるイギリスでこのことを学んだ私のこれからの課題は、まずは私の友人や家族に、フェアトレードについて知ってもらうことであると思いました。

そしてもう一つ、貧困=不幸と思うことは間違っているということも学びました。私たちは、店に行ったり、また外に出なくてもインターネットで頼めば欲しいものが揃い、毎日寝る場所があり、食べるものがあり、小さい頃から学校に通え、風邪を引いたら病院に行き、こうした面で不自由だと思うことはあまりない大変便利な環境で暮らしています。それに比べ、発展途上国では、学校にも通えず毎日働いている子ども、テレビなど見たこともない人々、雨が降ったら濡れることを心配しなくてはいけない家に住む人など、私たちよりはるかに不便な生活をしている人たちがいます。私たちはそのような人々を、“不幸”と思いがちです。しかし、貧困な中でも、家族がいて毎日顔を合わせることができるだけで幸せだと感じている人々も多くいます。そして、一日中働いて少ない給料しかもらえなくても、幸せだと感じて毎日を暮らしている人もいます。それなのに、先進国に住む私たちが勝手に、貧困=不幸だと思い、今よりも多い給料を与えようとフェアトレードのような制度を作っていることを、単なる自己満足なのではないかと思うこともありました。これについては発展途上国の事情など、基礎となる知識もまだまだないので、私は今後、もっとフェアトレードや関連する分野について勉強していきたいと思いました。

今回、このインターンに参加して、自分自身変わったと感じることがいくつもありました。それは、イギリスでの二週間は新鮮なことばかりで、19年住み続けている日本という場所だけでは決してできなかった体験や、得られなかっただろう感動を味わったことが理由なことはもちろんです。しかし私を大きく成長させてくれたのは、同い年の日本の大学生のインターンの9人の仲間に、たくさんの刺激をもらったことであると思います。こんなにもフェアトレードについて興味を持ち、考え、意見を交わし合うことができたのもインターンの仲間のおかげです。たった二週間でしたが、今までの経験、知識、今頑張っていること、将来の夢など、多くのことを語り合い、とても刺激され、自分を見つめ直し、充実した毎日を過ごせました。それぞれ参加した理由も、大学も、目標も違いますが、こうしてイギリスで出会い、二週間過ごした経験は、私にとってとても意味のあることで、一生の宝物になると思います。たった二週間だとは思えないくらい仲良くなり、みんなのことを本当に大好きになれたし、そして大切に思います。そして、もっとこうした機会に参加し、もっと多くの人と出会いたいと思いました。

大学でたまたま見つけた貼り紙が、確実に私を変えたと思います。私は今、フェアトレードについて卒業論文を完成させることを目標としています。このインターンで学んだこと、感じたことはこれからの生活の中できっと役に立つと思います。そして、これからもいろいろなことに、どんどんチャレンジしていこうと思います。