経験から得られる物は1つとは限らない

1208yumi

藤巻優美さん
宇都宮大学国際学部2年
イギリス・2012年8月参加


私は2週間のプログラムで参加しました。その「2週間」という期間は短かったものの充実しており、普段あまり何も考えずに生活している私にとっては、まるで1か月くらい生活したかのような感覚がありました。2週間をそんなとても濃厚な時間にしてくれたのは、活動を共にした日本のさまざまな大学から集まった自分とは違ったジャンルに興味のある学生たちでした。イギリスで異文化に触れた驚きよりも、私にとっては、日本ではなくイギリスで彼らと出会い、たくさんの話をしたことの方が大きな収穫となっています。

日本に帰ってきて、「イギリスに行ってきたんだ。」と友人に言うと、「旅行?」とよく聞かれ、しかしそこで「違うよ、インターンシップ。」と答えると、「え!すごい!」とかなりの確率で驚かれます。そこで必ず「どんなことをしてきたの?どうだった?」と聞かれます。どうだったのかというと、私は将来教員になることを目指しているわけでもないし、フェアトレードに強い関心があるわけでもなかったため、インターンの活動は、正直言うと夏休みの思い出の1つ程度の感覚となりました。だからと言って退屈だったわけではありません。英語を使ってたくさんの人たちとコミュニケーションをとるのは楽しかったし、何より英語を使って自国の文化を小学生たちに教えるなんて滅多にできることではありません。私の夏休みが充実したものとなったのは、このインターンのおかげです。しかし、楽しかったけれども、それ以上にはならないような感覚がありました。でもそれは、インターンの活動に関してであって、その活動を通した起こったその他の場面で刺激を受け、私は一皮むけて帰国することができました。私にとってとても刺激的だったのは、活動を共にした仲間たちで、日々たくさんの考えを交換し合うことでお互いを磨き合い、活動をより良いものにすることができました。

何人かは事前研修で一度だけ会ったことがありましたが、ほとんどの人とは現地の空港で初めて顔を合わせることになりました。それぞれがそれぞれの活動に参加した理由を持っていて、同じ理由を持っていた人はいなかったように感じます。唯一の共通点は、大学生であり、年代が近いということ。たったそれだけだったのに、すぐに打ち解けたくさんの話をして、互いに高め合いました。保育士を目指している人、小学校教師を目指している人、子供が好きな人や嫌いな人、どんなことでも笑いに変えてしまう人、将来フェアトレードの商品を販売するお店を経営したいという夢を持っている人、海外に来るのが初めての人、たくさんの国に訪れたくさんの知識を持っているからこそ現状に満足できず常に疑問と向上心を持っている人。本当に様々な人がいました。普段の何気ない会話のほかにも熱くディベートすることもあり、本当にたくさんのことを知ることができました。

私の中で1番記憶に残っているのがフェアトレードに関する話を友人としたことでした。私の学校でもフェアトレードの商品を販売しているサークルはあるし、フェアトレードという単語自体は耳にしたことがありました。しかし何のための活動なのかはよく理解していませんでした。そのため、インターンに参加したフェアトレードに強い関心のある友人たちの話がよく理解できず、どうせ「これは国際協力だ!世界の役に立つのだ!」とアバウトに考えて、「自分はフェアトレードに興味がある」と言っているだけなのではないかと思いました。しかし友人たちは、私のフェアトレードに対する多くの疑問やしつこく続ける意見をしっかりと聞き、最後まで答えてくれ、その姿勢から、それほどフェアトレードについて自分なりの考えを持っているのだなと感じました。私は世の中のことを知ら無すぎるとよく言われます。そのせいなのか、どんな事象にも「なんで?」と疑問を持ってしまいます。たいていの人はそんな私のしつこい質問に答えてはくれないし、細かいことまで聞いても相手は私の質問に答えられるほどの知識と自分なりの考えを持っていません。しかし彼女たちは違っていて、私が今までに出会った人たちの中で一番、私の質問にむきあってくれ、私が本当に求めていた答えを聞かせてくれた気がしました。

私も自分の将来のことだったり、たまには世界のことだったり、様々なことを考えます。しかし、例えば、平和を求めて「戦争をなくそう!」と思っても、それは簡単なことではないし、私は戦争がなくなることはないという考えを持っており、それでは結局世界中のみんなが毎日平和に暮らすことなどできないと思ってしまうので、いつまでたっても自分なりの答えが出せません。たとえたくさんのことを考えても、私にはまだそれを自分の考える「正解」や「考えのゴール」へと持っていくことができないのです。しかし彼女たちは違っていました。たとえ考えても考えても出ない答えがあっても、見分を広げて、少しでも答えに近づこうとしていました。考えることをやめようしませんでした。彼女たちと私のフェアトレードに関する意見は真っ向から対立するものだったので、私は彼女たちの意見に賛成することはできず、100%すっきりしたわけではありません。しかし彼女たちの考えと、その考えを相反する意見を持つ相手に伝えようとする姿勢にとても感動し、わたしも彼女たちのその姿勢を見習いたいと強く感じました。

私は本当に本当に良い仲間たちと出会うことができました。このような活動に参加することができて本当に良かったです。海外という慣れない土地で異文化に触れて、多言語をしゃべって得られるものはもちろんあると思います。しかしそれだけではもったいないのです。もしまた新しい誰かがこのインターンに参加するときは、私は、活動を共にした仲間たちとお互いを磨き合い、身近なところからも多くのことを学んで帰ってきてほしいと思います。