感じたこと:自分が人に何かの影響を与えていく立場である

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渡邊世莉奈さん
女子大学文学部2年
イギリス・2012年8月参加


8月下旬から9月末にかけての3週間に渡るイギリスコミュニティインターンを終えて今感じるのは、自分がもう人から何かをしてもらう立場ではなく、人に何かの影響を与えていく立場であるということです。思い返してみて、自分が小学生の時、イギリスやアメリカから大学生が日本にインターンで彼らの文化を教えてくれるという経験はありませんでした。英語を学ぶことが日本では一つの異文化と捉えられていることからも、彼らの伝統的な学びを得ることは彼らが日本に来るのではなく、私たち自身が外へ出ていく方が多く感じます。授業をさせて頂いたBromtone Primary School, St.Ethelberts Catholic Schoolの子供たちは、純粋に異国から来た私たちに対して強い興味を示してくれた反面、自分たちとは異なる文化を持つ私たちを見てどう感じたのか。インターンに参加する1週間程前からロンドンに滞在していたのですが、イギリスは思っていたより多民族国家ではなく、閉鎖的なイメージを受けました。以前、滞在していたオーストラリアでは多種多様な国籍が共生していたので、現地の多くの人が異文化共生というものを自然と身につけていたように思います。しかし、日本と同じ島国、EUに加盟しながらも独自の貨幣を持ち、少し他のヨーロッパ諸国とは距離置いているイギリス。そんな国で子供たちに、異文化や異民族を受け入れる、異文化を知ってもらうというプログラムに興味を持ち私はこのプログラムに参加しました。

折り紙、書道、カルタ、子供たちが本当に関心を持ってくれるのか半信半疑で初日学校へ向かいました。「子供たちの記憶に残る授業をしたい」そう思いながらも実際に授業を行ってみると実際の生徒の数が事前に聞いていたものと違っていたり、耳の不自由な子にどのようにしてカルタを行うか、準備8割、実践2割というように、どれだけ準備していても現場に出るとまだまだ経験も浅い私たちでは戸惑うことばかりでした。準備が8割もできていなかったのでは。。。と初日が終わった日、後悔と申し訳なさでいっぱいでした。ですが、回数を重ねるごとに授業のペースが掴め、よりスムーズにできるように、子供たちの声に耳を傾ける余裕もでき、異文化を持つ私たちの姿がイギリスの子供たちに「自分の知らない世界がまだまだある」ということを知り、刺激を与えることができたら嬉しく思います。3週間滞在したラムスゲートは小さな田舎街です。ロンドンとの経済格差は否めませんし、ラムスゲート入りした日は正直暗い街という印象でした。都市での生活に引け目を感じていたり、ロンドンのハイスピードで進む世界についていけないという人が多くいたり。。。 私のお世話になったホストファミリーは「もう何年もロンドンには行ってない、今更行っても疲れてしまう。」と言いましたが、ラムスゲートの子供たちが囲の中の蛙になってしまいそうな環境にあるのではないかと思いました。自分が今いる場所に安心を覚えるのは大切なことですが、向上心のない生活を送ることにも繋がってしまいます。田舎待であることを引け目に感じるのではなく、ラムスゲートに誇りを持って旅立つためにも、郷土カルタは良い教材だったのではないかと思います。私自身が自分の故郷のことを全て知り尽くしている訳ではありませんが、小さいころよく家の近くの歴史博物館や建物に両親に連れて行った思い出があります。現在では、ゲームが子供たちの遊びを占め、なかなか地域めぐりをする機会が奪われつつあるので、カルタづくりを通して、子供たちが自分のアイデンティティーを知る手がかりにしてくれたら嬉しく思います。

また、教育が進んでいると一般的に言われている英国ですが、何がどう日本と比べて進んでいるのか。現在の日本の小学校事情は全国まちまちで、これが日本の小学校教育といえるものはないと思います。イギリスの場合は、クラスヘッドティーチャーのほか、アシスタントティーチャーが2人から3人付くこと、障害時の受け入れをした場合、先生の数が増えるのではなく手当が増えるということ、イギリスのも公私の学校で教育格差が起きていること、私が感じたのはこの点です。1校目のBromptone Primary Schoolはとても親しみやすい学校でしたが、学力的なものは掴みきれませんでした。ですが、先生方の手助けがなければ生徒が静まらなかったり、興奮のあまり大人しくできなかったりといったあたりを見ると教育がまだまだ行き届いていないようにも感じました。2校目のSt.Ethelbertsでは驚くほど子供たちが聞き分けがよく、私たちが指示する前からワークシートを理解していたり、前校と比較して教えやすかったとチーム全体として話しました。ミッション系学校ということもあり、少数人数の小さな学校だからこそできる教育だったのだと思います。どちらの学校にも良い点、改善した方が良い点がありましたが、授業の内容に熱心に取り組んでくれ、準備した甲斐があったと感じることができました。イギリスの教育が進んでいるとは一概には言えませんが、日本の小学校と比べ先生の数が多いため、1人1人が過ごしやすい環境なのではないかと思いました。

インターン活動の一環として、フェアトレードの活動を斡旋しているタミーさんにお会いし、お話しできたことは大変嬉しかったです。女性の生き方のロールモデルの一人として尊敬する方でした。女性の方がフェアトレードや貧困解決の活動をする傾向があるとされながらも、それを職業として専門的に扱う人は多くありません。大抵が副職としてではないかと思います。ラムスゲート自体がフェアトレードタウンとして認証されているものの、自分のお店でフェアトレードを扱いながらもフェアトレードについてはよく知らないんだといった方もいました。しかし、それは逆に良いことなのではないかと思いました。無意識のうちにフェアトレードの商品を手に取っている、日本では意識的にフェアトレードの商品を買う方がまだまだ多いと思います。なかには、フェアトレード商品は高い割に質が良くないといった方もいました。フェアな価格で取り引きしているのだから高くて当たり前というか、そこの仕組みを理解せず、批判するのは違うのでは?と感じましたが、その不満も身近にすぐフェアトレード商品があるから抱けるものであり、ラムスゲートのまち起こしの一環ではなく、フェアトレードで活性化して欲しいなと感じました。とは言いながらも、経済状況的に考えるとフェアトレードで活性化するのは厳しい政策のようにも感じました。ラムスゲートの子供たちが胸を張って自分の故郷を誇れるような未来の政策を考えていく必要があると思いました。

3週間イギリスで過ごした日々は、どれも濃く、毎日何かしらを吸収していました。今回のインターンで自分自身のなかで見つかった課題やフェアトレードについての幅広い知識を深めていきたいと思います。