イギリスと日本の学校施設&教職員

1102kiji

子波 勇人さん
駒澤大学文学部2年
イギリス・2011年2月参加


はじめに 本レポートでは平成23年2月27日~3月14日まで、イギリスの小学校(プライマリー・スクールを訪問した際に見聞きしたことに基づき、イギリスと日本の教育を考察するものである。考察対象は「学校施設(主に校舎」と「教職員」の三点である。

第一章 イギリスと日本の学校施設

イギリスと日本の学校施設の大きな違いはその施設構造である。日本の学校校舎は鉄筋コンクリート、3~4階建ての構造が大半である。しかし、イギリスの学校校舎は平屋建てであり、レンガ造りのものが多くを占めていた。この点については風土の違いがあると考えられる。日本は先の東北関東大地震などにみられるように地震大国である。そのために耐震性を考慮し、生徒・職員の安全を守るため鉄筋コンクリートが用いられたと考えられる。しかし、イギリスでは日本のような大きな地震がほとんどないために地震に脆いレンガを多用しても問題は無いと考えられる。加えて、伝統的にレンガ造りの建物が多く作られてきた歴史的背景が存在すると考えられる。

第二に学校校舎多層化するか否かの差である。日本では1・2年生は1階、3・4年生は2回、5・6年生は3階と学年ごとに教室を配置するフロアが分かれている。学年ごとにフロアを分散させることは、学年同士の軋轢・衝突を防ぐためと考えられる。加えて、儒教の教えである「目上のものは尊敬する」という文化の影響のためか、学年ごとの明確な線引きのためにフロアを分散さていると考えられる。しかし、イギリスで全ての学年教室が同じフロアに配置されている。このことは前述の日本が受けた儒教的思想とは異なり、キリスト教の「神の前に人はすべて平等である」という考え方の影響のためにすべての学年に日本ほど厳格な線引きがなされていないと考えられる。以上、イギリスと日本の「学校施設の建築構造」と「校舎の内部構造」を比較し、相違点を考察した。この考察から学校施設からその国の風土、地理、文化が存在すると結論付けられる。参考として、以下の学校の平面図を参照されたい。


第2章 イギリスと日本の学校職員の違い

第一にイギリスと日本の教職員の違いについて考察する。イギリスの教職員は日本の教職員と違い、仕事は定刻通りに仕事を終える点が特徴である。しかし、日本の教職員は定刻には仕事を終えず、事務仕事、部活の指導などのサービス産業が多く存在する。このことからイギリスの教職員は日本と違い、教職を完全に「仕事」と割り切っているのである。また、仕事とプライベートをはっきり区別している点も特徴である。家庭内に仕事を持ち帰り、プライベートも生徒や親の目や周辺の住民の目を気にしながら生活している日本の教員とは大きく異なる点である。つまり、このことは日本とイギリスでは公私がはっきりと区別されていると考えられ、公私混同が問題になる日本とは大きく異なると結論づけられる。

第二にイギリスの教職員の負担について考察する。イギリスの学校の教室では収容人数がおおむね20人前後であり、30~40人学級が大半である日本とは大きく異なる。また先生が小学校の場合2人が一つの教室に配置されている。日本でいう「T・T(ティーム・ティーチング)」が機能しているのである。このことは10人につき一人の教員が付くことになり、40~30人の生徒を一人で抱える日本の教員とは異なる。つまり、イギリスの一人あたりの教員の負担は日本の四分の一程度であると考えられる。つまり、イギリスの教員は日本の教員よりも一人の子供に多くの時間を費やせることが可能になると結論付けられる。 教職を完全に「仕事」と割り切り、公私混同を明確に区別する勤務姿勢と一人あたりの教員の負担は日本の四分の一程度である勤務負担以上、二つのことから、イギリスと日本の教員の相違点は公私を区別する明確な線引きと負担の度合いの二つであると結論付けられる。 おわりに 今回のイギリスの教育現場を体験し、それをもとに「学校施設(主に校舎)」と「教職員」を対象に考察した結果、次の二つのことがわかった。一つは学校施設からその国の風土、地理、文化を読み取ることができること。二つ目はイギリスと日本の教員の相違点は公私を区別する明確な線引きと負担の度合いの二つである。 このページの先頭へ