リーダーシップ=「伝える力」

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伊藤匠— 神戸大学・法学部3年 (イギリス・2014年9月参加)

 

■私がこのインターンに参加した目的について。

約二年半のこれまでの大学生活の中で、私はあるコミュニティにおける「リーダーシップ」たるものについて、常々考えてきました。その表現には様々あるというのが自分なりの結論です。

バイトリーダーとして新人には熱心に指導をしながら、模範的な姿を示し、働く環境の質を上げ全員にとってアルバイトをより有意義なものにすること。学部のゼミで議論を一転させるような正確な発言をし、グループディスカッションをしかるべき方向へ導くこと。サークルで「楽しい」の環境づくりに徹底して取り組み、仲間との最高にWIN-WINな関係を自ら作り上げること。

これらは私がこれまで所属してきたコミュニティにおける、自分なりに最大限リーダーシップを発揮しようと努めてきたことの一例です。こうした活動の中で、私はリーダーシップのための中核をなすものは、相手に何かを「伝える」ということなのだと、目の前にいる人を動かすには、まず心を動かす伝達力が圧倒的に必要なのだと感じました。

これは私が今回のインターンから得た大きな経験でもありますが、外国の人は「自分たちと違う土地に住み、違う顔をし、違う言葉を話す、というだけの人たち」ではありません。彼らと私たちでは、根底にあるものが異なっています。おじぎをしたら不思議がられるし、初対面でも別れ際にはハグをします。そういった自分とは全くバックグラウンドが異なる人たちに「伝える」ということが十分にできれば、自分もより成長できるのではないだろうか?これが私が今回参加した理由であり、目的につながった部分です。

■実際の活動から得た学びについて

まず、日本文化の紹介について。これは先ほど自分が述べた「伝える」ことの深化についてとても密接に関わった活動でもあり、自分の中で特に力を入れたものでもありました。
書道、折り紙、そしてかるたを通した日本の紹介などいろいろしましたが、共通して自分が感じたのは、「ただ伝えるだけでは何の意味もなければ面白みもない」ということです。
例えばプレゼンで忍者やポケモンを紹介し、説明でもすれば、ほぼ必ず子供たちは食いついてくれます。けどそれだけで終わってしまえば、子供たちの中にも何も残らないし、伝えた側も何の達成感も味わうことはできません。時が経てば「日本から人が来て、ピカチュウとかなんとか言ってたなぁ」、この程度だと思います。これってとても悔しいことだと思いませんか?日本の文化は紛れもなくすばらしい文化です。それは海外でも評価されているところではありますが、今ひとつ、海外ではその本質が伝わっていないように感じたのも事実です。

あるクラスで日本文化の紹介をしたときのことです。とても賢いクラスで、プレゼンも静かに聞いてくれていたように思いました。しかしこれまでの生徒とは違って「おとなしいクラスかな」という印象でした。その後仲良くなった数人と昼休みに校庭で遊んでいるとき、密かにずっと楽しみにしていた、「ジャパニーズコメディ」と称した日本の「ノリツッコミ」を教えました。するとみんな大笑いで、瞬く間に生徒が集まってその場はちょっとしたパニックでした。しかしその後は午前中とは別人のように楽しそうに聞いてくれ、終わった後も連絡先を教えて!なんて言ってくれる子もいて、とても楽しい活動になったのを覚えています。

話が逸れましたが、何が言いたかったかと言いますと、一生懸命考えてきた英語の文章を、小学生相手にただしゃべっても生徒にはなかなか伝わりません。自分の性格、どういう人間なのかを知ってもらい、実際にふれあった上で、原稿ではない、自分が本当に思ったこと、本当に伝えたいことを伝えてこそ相手に自分という人間が残るのだと思います。あくまで個人の感想ですので、今後参加される方に参考にして頂けるかは分かりませんが、少なくとも伝達力に重点を置いてきた自分にとっては、このインターンを通じて得られたものの一つです。

■フェアトレードかるたの作成=生徒主導の活動

そしてもう一点、今回のインターンの主軸にあったのは、フェアトレードかるたの作成です。この活動は最も充実した活動であり、かつ最も難しい活動でもありました。ある意味、一方的に日本文化をプレゼンすることは、正直、準備さえしっかりできていれば楽です。こちらに主導権があって基本的には生徒の反応によってこちらが動きを大きくかえる、ということはありませんから。

しかしこの活動では、かるた作成の段階には、完全に生徒主導になります。その中でどれだけサポートし、フェアトレードかるたの質向上に貢献できるか。そこが自分の中では鬼門でした。例えば生徒が、自分の考えた文章のsyllableがいくつなのか分からず困っている。けどたかが英語をある程度かじっただけの大学生にはなかなか教えられるものではありません。もっと言えば、小学校の生徒にありがちですが、何について困っているのか、さえ分からないこともしばしばです。こちらのリスニング力不足はおろか、生徒もまだまだ正しい文章で話すことができないことがありますから。

とはいえ、このように困っている生徒が目の前にいるのにもかかわらず、それを解決してあげられないことが自分にとって一番の苦しい点でした。何のために来たのだろうと思ったときさえあります。この活動に関しては正直最後の活動の際も十分にできたとはいえず、心残りとなってしまいました。しかし同時にこれは相手とのコミュニケーションの疎通という、最も重要なポイントでもあり、もし来年度参加する方がいらっしゃれば、ぜひともこの部分に重点を置いて活動して頂けたらと思います。

■自分なりの目的を意識化する

最後に、インターン全日程を総括してですが、その活動を通して何らかの自分なりの目的を意識することがとても大切だと思いました。毎日は質的にも量的にも大変充実していますが、少し手を抜けば本当にあっという間に過ぎ去っていってしまいます。今日は何を意識してやるのか、そのためにどんな工夫が必要か。目的を意識することで新たな発見も見えてくると思います。この、苦しくもあり楽しくもあった三週間の経験を自分の糧として、これからも自分の「伝える」力というものにこだわっていき、リーダーシップの質をより一層高めていきたいと思っています。